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2014年10月 1日
卒論生の研究が学会英文誌に掲載されました

卒業生の大河原洋子さん(現在は琉球大学大学院博士課程学生)、星野理紗さん(現在は野生動物保護管理事務所勤務)が、卒業論文として取り組んだ研究が、Mammal Study (日本哺乳類学会英文誌)に掲載されました。

二人の研究はいずれも、フィールドワーカーとして野外へ出ていきデータを取得したものですが、女性であることから作業実施上の安全性についても配慮し、作業時間帯は主に昼間のみとしました。そして、サンプル分析手法やデータ取得機材に、夜間に作業を行わなくても同様の成果が出る内容を入れることで、研究成果を達成しました。このように、個々のフィールドワーカーの体力や安全性の実情にあった研究作業設計を行うことも、当研究室として取り組んでいきたいことの一つです。

大河原さんの研究は、多摩川河川敷に生息するニホンイタチのフンサンプルを、DNA分析を行って種判定と性判定を行い、都市河川の生態系の頂点の捕食者の採食生態について考察したものです。野外のフンサンプルを用いて種と性を明らかにした研究として、テレメトリーによる追跡調査が困難な動物の研究手法にとって、ブレイクスルーをもたらしました。フンDNA分析は、非侵襲的(non-invasive、動物に調査の影響を与えない)であるため、動物の生息数が少なくなっている地域の調査方法として適しています。

Okawara, Y., Sekiguchi, T., Miura, S., Sasaki, H., Fujii, T., Kaneko, Y. 2014.Food habits of the urban Japanese weasels Mustela itatsi revealed by faecal DNA analysis. Mammal Study 39:155-161. 

 

星野さんの研究は、基礎生態にまだ不明な部分が多いニホンテンについて、カメラトラップを用いて環境選択を明らかにしたものです。カメラトラップという調査機材は、最近よく用いられるようになってきていますが、赤外線センサーを自動撮影であるためデータ数が多く、データの格納様式や統計分析について工夫が必要です。この論文を書くにあたり、生物情報の分析の専門家の村瀬先生(名大)の参加していただき、この点について最新で洗練された内容にすることができました。そのためか、論文審査も大変順調にすすみました。今後、野生動物の生態データ取得では、自動化がさらに進むことが予想されますが、分析の専門家との共同作業もどんどんエンカレッジされるべきであると思います。カメラトラップも、非侵襲的な調査機材です。

Hoshino, L., Murase, K., Adachi, T., Fujita, T., Kaneko, Y. 2014.Broad-leaved forest selection of the Japanese marten (Martes melampus) in central Japan revealed by camera trapping. Mammal Study 39: 163-166.